2010 年08 月05 日
Q: 裁判で相手方が出頭しない場合には、こちらの言い分が全て認められるのですか?
A: 必ずしも、そんなことはありません。離婚の訴訟等を民事訴訟や刑事訴訟と対峙させて人事訴訟と言いますが、人事訴訟においては、被告が出頭しなくとも、原告は立証を尽くさないと、その主張が認められません。また、十分に立証尽くしたと思えても、全ての主張が認められるとは限りません。
例えば、離婚訴訟において、慰謝料を1億円請求したとします。もちろん、1億円に見合う精神的損失を被っていることを主張・立証することができれば、満額の慰謝料が認められることに理論的にはなります。しかし、実際には、現状の日本の裁判所においては、離婚に伴う慰謝料として1億円の請求が認められるようなことは、ほぼないものと考えるべきでしょう。通常、慰謝料は200万円であるとか、多くても500万円といったレベルにとどまる(離婚の場合を念頭に置いております)ことが多いのです。したがって、離婚に伴う慰謝料として1億円を請求した場合、被告が裁判に出頭しないからといって、原告の請求通り、1億円の慰謝料が認められるとは限らないことに注意が必要です。
この点、民事裁判では、被告に送達がなされたのに被告が出頭しなければ(ここでは、便宜上「欠席裁判」と呼びます)、原告の主張通りとなりますから、人事訴訟とは大きな違いがあるのです。
人事訴訟では、被告が出頭しない二つのケース、すなわち、「公示送達」の場合であっても、「欠席裁判」の場合であっても、しっかりと立証を尽くさなければならないという点で共通しています。
投稿者:よしの たいら
at 20 :59| 離婚−手続の流れ
| コメント(0 )